
こんなあなたにむけた記事です。
本記事の信頼性
本記事は、約200時間の学習で中小企業診断士試験にストレート合格した中小企業診断士が執筆しています。筆者の勉強法は企業経営の専門誌「月刊 企業診断」(2021年12月号)でも紹介されています。

月刊 企業診断(2021年12月号)より抜粋
この記事では、現役の中小企業診断士である筆者が、2次試験の内容や対策をお話しします。約50時間の学習で2次試験に合格できた解法も完全公開します。
最後まで読めば、今日から合格に向けたスタートを切れます。さっそく、はじめていきましょう!
もくじ
中小企業診断士2次試験│試験の概要
まずは2次試験の概要からお話します。
- 受験対象者
- 日程
- 科目と内容
- 合格基準
- 難易度(合格率)
- 受験の免除
受験対象者
2次試験の受験対象者は、1次試験合格者のみです。いきなり2次試験から受けることはできません。1次試験の内容や合格条件は、以下記事をご覧ください。
≫【2022年最新版】中小企業診断士の難易度│勉強時間・偏差値で見る難しさ【合格者執筆】
日程
例年、10月下旬~11月上旬に筆記試験が行われます。正確な日程は、中小企業診断協会のWebサイトでご確認ください。
2022年度の2次試験(筆記)は、2022年10月30日(日)実施予定です。
試験科目と内容
中小企業診断士の2次試験(筆記)は、全4事例×100点の400点満点です。科目ごとの内容は下表のとおりです。
事例 | 内容 |
事例Ⅰ | 組織・人事 |
事例Ⅱ | マーケティング・流通 |
事例Ⅲ | 生産・技術 |
事例Ⅳ | 財務・会計 |
各事例では、下図のように、中小企業の経営環境などを説明した文章(=与件文)が示されます。
二次試験の問題例(2020年度事例Ⅰより抜粋)
与件文をもとに、いくつかの設問に文章で答える形式の試験です。ただし事例Ⅳ(財務・会計)は、大半が計算問題となります。

2次試験(筆記)に合格すると、口述試験に進みます。例年、合格率は99%を超えており、落ちることはありません。気になる人は、以下記事を読んでください。
合格基準
2次試験は、400点満点中、240点以上(60%以上)を取れば合格です。ただし、1つでも40点未満の科目がある場合は不合格になります。
難易度(合格率)
2次試験(筆記)の合格率は、例年20%前後です。過去5年の合格率の推移は以下。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021 | 8,757 | 1,605 | 18.3% |
2020 | 6,388 | 1,175 | 18.4% |
2019 | 5,954 | 1,091 | 18.3% |
2018 | 4,978 | 906 | 18.2% |
2017 | 4,279 | 830 | 19.4% |
ちなみに、2次試験は2回までしか受験できません。(1次試験に合格した年と、その翌年)
2回とも不合格なら、次年度の1次試験からやり直しです。厳しすぎます。
受験の免除
2次試験に受験免除の制度はありません。
ただし、1次試験合格者が「養成課程」とよばれる予備校のような機関を修了することで、2次試験を経ずに中小企業診断士になれるルートがあります。
中小企業診断士2次試験│試験の意図
ここからは2次試験の対策についてお話しします。最初に大事なことを言います。
中小企業診断士の2次試験は、経営の知識ではなく、論理的思考力を測る試験です。大学受験の「国語」のような試験です。
ここだけは、絶対に押さえてください。
2次試験は、受験生の経験や知見を聞いているのではなく、与件文に書かれた日本語を読み、論理的な文章で回答する能力だけを測っている試験です。
この認識がズレて「自分の経験では・・・」と、独りよがりな回答を書くと、落ちます。
中小企業診断士2次試験│50時間で合格した勉強法
ここからは、50時間ほどの学習で2次試験に合格したぼくの勉強法を紹介します。
①テキストをそろえる
「同友館」が出版している、以下の3シリーズで勉強しました。
2022年版改訂版 中小企業診断士2次試験 事例IVの全知識&全ノウハウ
使ったのはこれだけ。基本的には最新版を買い、「ふぞろいな合格答案」は、自分が演習したい年度がカバーできる分だけ買います。
ちなみに、ぼくは通信講座のスタディングを使って1次試験を突破しましたが、2次試験では使いませんでした。スタディングの解法がピンとこなかったからです。
②問題用紙、解答用紙を印刷する
LECの過去問ダウンロードサービスから、問題用紙と解答用紙を印刷します。自宅にプリンターが無い人は、セブンイレブンのネットプリントで印刷しましょう。
問題用紙はB5の冊子印刷、解答用紙はA3の2in1印刷にすると、本番と同じになります。こんな感じです。
セブンイレブンで印刷した冊子。なかなかのリアリティ
面倒ですが、本番と同環境で演習すると、学習の効果が高まるのでがんばりましょう。
③問題を解く
問題を解きます。以下のように、本番と同じ環境で解きましょう。
- 80分で解く(時間を分けずに通しで解く)
- 静かな部屋で解く(図書館がおすすめ)
- 筆記用具類も、本番と同じにする(シャーペン、消しゴム、蛍光ペン)
80分の時間配分は人それぞれですが、ぼくは以下のようにしていました。
・設問文を読む(3分)
・与件文を読む(12分)
・設問を解く(12分×4~5問)
・確認(残った時間)
④採点&復習
問題を解いたら「ふぞろいな合格答案」の基準にしたがって、採点します。
その後、自分のダメだった点を抽出して、整理します。当日、試験会場に持ちこむ、まとめ資料(ファイナルペーパー)に書いていくのがおすすめです。
上記は、ぼくのファイナルペーパーの抜粋。主に、「ふぞろいな合格答案」のAランク答案と、自分の答案の差をまとめています。

◆
◆
以上が、ぼくが50時間で結果を出した勉強法です。特別なことは何もせず、ただPDCAサイクルを回しただけです。
中小企業診断士2次試験│かげつメソッド
演習を重ね、ぼくが行き着いた解法をまとめたのが下図です。
全部で3つのステップで解答します。
ステップ1:文章の型づくり
設問文をもとに、どのような文章で解答すれば良いかを判断します。「並べ型」「流れ型」「比較型」の3つ型で、ほぼすべての問題が解けます。
ステップ2:答えさがし
文章の型が決まったら、型にはめこむ要素(答え)を探します。できる限り、与件文に書いている事実を使うのがコツです。間違っても、自分の経験を答えてはいけません。きつい言い方ですが、そんなこと誰も求めていません。
ステップ3:文章化
「文章の型」と「答え」がそろったら、後はそれらを合体します。機械的な作業なので頭は使いませんが、日本語として読みやすくする工夫がたくさんあります。
- 誤字・脱字をしない
- 主語・述語を明確にする
- 字数制限の8割以上は書く
- 長すぎる修飾語を使わない
- 書いた文章を他人になったつもりで読み返す
- 問題冊子の余白に下書きをする
- 複数の要素を答えるときは①~、②~、と数字を使う
- 採点者が理解できない単語(業界の専門用語など)を使わない
文章の書き方を解説した本も1冊読んでおくのがオススメです。ぼくのおすすめはこちら。
拍子抜けするくらいシンプルですが、だからこそ再現性が高く、短い時間で効率よく解答力がアップしました。
2次試験の解法は千差万別。ぼくの解法も1つの参考に、あなた自身のメソッドを生み出してください。
中小企業診断士2次試験│よくある質問
ここからは、ぼくが受験生の方からよく受ける質問に回答します。
過去問はどれくらい演習すれば良いですか?
事例Ⅰ~Ⅲはそれぞれ5年分、事例Ⅳは15年分(合計30事例)を解けば十分です。時間に余裕がある人は2~3周まわします。
勉強時間の目安を教えてください。
まずは60時間を目安にしましょう。前述の演習量(計30事例)×2時間です。60時間なら、1次試験終了後から勉強を始めても、十分にこなせます。

ぼくは、事例Ⅳ(財務・会計)の予備知識があったため、事例Ⅳの演習量を削り、50時間の演習でなんとか合格しました。
今年初めて中小企業診断士試験に挑みます。2次試験の勉強はいつから始めれば良いですか?
1次試験が終わってからでOKです。
1次試験対策に専念すべき時期に、不安な気持ちから中途半端に2次に手を出した結果、1次試験に落ちるというのはよくある失敗です。
どの事例をがんばるべきですか?
圧倒的に、事例Ⅳ(財務・会計)です。計算問題がメインのため、演習量に比例して得点が伸びるからです。
特に「経営分析」「損益分岐点分析」の2領域は、何があっても解けるように訓練しましょう。
事例Ⅳ(財務・会計)の「意思決定会計」が意味不明で心が折れます。
ここだけの話ですが、「意思決定会計」は解けなくても合否にはあまり影響しません。ぼくも、試験本番で「意思決定会計」はほぼ白紙でしたが、合格できました。難しいと感じたら、捨てるのもアリです。
日経新聞の社説を要約すると、2次試験の練習になると聞きました。やった方がいいですか?
文章を書く練習になるので、ムダとは言いません。ただ、社説を要約する時間があるなら、2次試験の過去問を解いた方が良いと思います。
2次試験のおすすめの予備校は?
以下記事で紹介しています。大手予備校よりも私塾のほうが実績が出ています。
≫中小企業診断士│二次試験の予備校を比較!価格より合格率を重視せよ
何度やっても受からないのですが、どのような点を改善すれば良いですか?
以下6つを改善してみましょう。
①:2次試験の趣旨を理解する(本記事のとおり)
②:毎日3,000字以上をアウトプットする
③:自分なりの解法を固定し、繰り返す
④:合格答案の言い回しを真似る
⑤:振り返りを重視する
⑥:勉強時間を決め、死守する
また、どうしても受からない場合には養成課程も視野に入れましょう。
まとめ:2次試験の勉強は量より質。1次合格後、すぐに走り出そう!
今回は、中小企業診断士2次試験の内容と対策をお話ししました。
最も重要なことを最後にもう1度お伝えします。中小企業診断士の2次試験は、以下の能力が問われる試験です。
- 与件文と設問の日本語を正しく解釈する
- 与件文から必要な情報を集める
- 採点者に伝わる日本語で文章を書く
これらは、何も考えずに量をこなせば身につく能力ではありません。
「2次試験の本質」を理解して勉強すれば、短時間で受かりますし、理解せずに勉強すれば、何年たっても受かりません。
勉強量に精神の安定を求めず、効率&結果重視で勉強しましょう。この記事を最後まで読んでくださったあなたなら、きっと合格できるはず!
以上です。